犬の百科事典 は行

は行

犬のトレーニングに関する用語や道具、動物行動学に関する用語をまとめた「犬の百科事典」です。専門学校などで愛玩動物看護師むけに講義を行ったり、教科書を執筆している講師が学術的な定義を基に、客観的かつ端的にまとめてありますのでご活用下さい。

徘徊(はいかい)

認知症・精神病や、葛藤状態からの逃避などにより、無意識のうちに目的もなくうろうろと歩き回ること。老犬に多くみられる行動で、認知症の症状として現れることが多い。徘徊は放っておくと、壁にぶつかって怪我をしたり、隙間に入って出れなくなってしまう危険がある。円状のサークル(エンドレスサークル)を活用することで、壁にぶつかることも回避でき、円を描くように歩き回ることが可能となる。

排泄行動(はいせつこうどう)

個体維持行動の一つで、体内の老廃物を体外に排出する行動。犬が自ら排泄を開始するのは移行期以後であり、それまでの新生子期では、母犬が子犬の陰部をなめて排泄を促す。また、子犬は筋肉や神経が未発達なので、成犬と比較し排尿回数は多い。たとえば8週齢の子犬の排尿回数は1日に10~15回程度、5ヶ月齢で6~8回程度である。この時期子犬が排尿を我慢できる時間は、「月例+1時間」が目安とされている。
犬の特性として自分の寝場所(巣)を汚さないよう、できるだけ離れた場所で排泄することがわかっている。さらに、食事(摂食行動)の後、水を飲んだ後(飲水行動)、寝起き、運動・興奮した後に排泄しやすい。これらのことから、犬のトイレのしつけは、寝床とトイレを分けて設置し、上記のタイミングにトイレに連れていけば教えることができる。

ハウス

犬専用の小屋を総称してハウスと呼ぶことが多い。クレートサークルケージすべてを指す。

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破壊行動(はかいこうどう)

物を噛みちぎって壊したり、引っかいて破壊する行動。欲求不満や不安、恐れなどが原因で起こる行動であるが、子犬のころは初めて見る物を口にしてどのような物が確かめるために行動をとることが多い。特に4ヶ月から7ヶ月頃に乳歯から永久歯に生え変わることから頻繁にものを噛む行動が発現しやすい。成犬で見られる際は、運動不足などの欲求不満や分離不安などの傾向がある犬が、不安や恐れから物を破壊することが問題としてとらえられるケースが多い。

バスケットマズル

犬のマズルに装着し、噛むこと防止する目的で使用される道具のこと。拾い食い防止などにも使用されることもある。家庭犬のドッグトレーナーは人を噛んでしまう問題行動を修正する際、咬傷事故防止のため使用することがある。装着は氾濫法用いて行うのではなく古典的条件付け、および系統的脱感作を用いて装着することが望ましい。別名口輪。

ハズバンダリートレーニング

動物の健康管理や投薬などを受けやすくするため、所定の動作をさせるトレーニングのこと。例えば、イルカの採血をするために、尾ビレを人に向けて静止することや、パンダに対し、採尿をするために鈴の合図で排泄をするなどのトレーニングがある。犬の場合、採血や爪切りなどの保定などが含まれる。

罰(ばつ)

オペラント条件付け学習によって、行動の頻度が弱まることを罰と呼ぶ。反応したことで悪い結果(嫌悪刺激)が与えられる正の罰と、反応したことで良い結果(快刺激)が取り除かれる負の罰で行動の頻度は弱まる。

罰子(ばっし)

オペラント条件付けで、結果として出現したりなくなることで反応の頻度を弱める刺激を罰子と呼ぶ。 正の罰で反応を弱める刺激を「正の罰子」、負の罰で反応を弱める刺激を「負の罰子」と呼ぶ。

パピークラス

社会性や人とのより良い関係の基礎を身につけることを目的とした、子犬対象のクラスのこと。様々な環境刺激(音、物、場所など)に対する馴化拮抗条件付けを行うことで、子犬が将来出会う可能性のある刺激に馴らしていく。さらに、しつけ教室によっては、トイレトレーニングやハウストレーニングといった、人と暮らす上で最低限求められるトレーニング内容が含まれる。

パピーパーティー

主に子犬同士の社会性を身につけることを目的とした集まりで、参加人数が多くなると、人に対する社会性を身につける場にもなる。ただし、子犬同士の自由な触れ合いが、結果的に他の犬に対する恐怖心を抱かせるてしまう場合があるため、注意が必要。つまり参加時には、他の犬に対する馴化などが行われたか、犬の反応を確認することが重要となる。

般化(はんか)(オペラント条件付けにおける)

特定の弁別刺激に反応が生じるようになった際、学習した弁別刺激に類似した刺激に同じ反応が生じるようになることを般化という。犬のトレーニングで“こい”という言葉を弁別刺激で飼い主のもとにくるように学習させた場合、似たような言葉の“おい”という言葉でも飼い主のもとに来るようになったら、般化が生じている。

般化(はんか)(古典的条件付けにおける)

特定の条件刺激条件反応が生じるようになった際、学習した条件刺激に類似した刺激に同じ条件反応が生じるようになることを般化という。動物病院で獣医師にも強い恐怖心を抱くようになった際、その犬が散歩中に白い服を着た人を怖がるしぐさを示す場合、獣医師(白衣を着ている)と白い服を着た人という似た刺激の間で般化が起こっていると考えられる。

般性強化子(はんせいきょうかし)

条件性強化子の中でも、複数の強化子と結びついているものを般性強化子と呼ぶ。例えば、お金は食べ物などの一次性強化子や、映画のチケットなどの条件性強化子と交換が可能な般性強化子となる。

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ハンドシャイ

手で叩く、無理やりさわられる、掴まれるなどの嫌悪的な体験が原因で、犬が人の手を怖がること。犬の体にアクセスする人の手や犬の視覚内で人の手が動くことに対し、身をすくめる、尻尾を股の間に巻く、耳を後ろに倒すなどの恐怖反応を伴う。恐怖の対象である手から逃げるために、場合によっては噛みつくといった攻撃行動を見せ、回避しようとすることもある。犬のしつけ現場では子どものいる家庭(犬の感情を理解せず無理やり触る、身体的に無理な抱き方をするなどの原因による)で多く見られる。

ハンドフィーディング

人の手からドッグフードやおやつなど摂食行動に関わる強化子を犬に与えること。犬の社会化教育において、幼少期からハンドシャイを防止するために古典的条件付けを用いて手に対し陽性感情を抱くように条件付けすることが望ましい。

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ハンドリング

動物の行動に応じた対応を行い、その場に適した反応をするように導くこと。犬のトレーニングの場合、各場面において適切な反応をするように、リードでコントールしたり、トリーツで誘導したり、さらにコマンドを与えたりすることなどが、これに当たる。

反応形成(はんのうけいせい)

行動の変動性を利用して、新しい反応をつくりだすこと。シェーピング=逐次接近法と誤解されることが多いが、反応形成のなかの一手法論にすぎない。専門書でも誤って記載されていることがあるので注意が必要である。(反応形成は反応の引き出し方により、「誘発法」、「身体的誘導法」、「鋳型法」、「モデリング法」、「逐次接近法」に大別される。)

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反応連鎖(はんのうれんさ)

1つの反応が次の反応と結びつくこと。つまり、1つの反応が合図になり次の反応が起こるということ。(順行連鎖逆行連鎖参照)

反応率分化強化(はんのうりつぶんかきょうか)

オペラント条件付けにおける強化スケジュールの1つ。低反応率分化強化スケジュールと高反応率分化強化スケジュールがある。前者は、反応がある時間経過後に見られた時に強化させるなど、低い反応率になるよう間隔をあけて反応を強化する。一方後者は、ある時間内に規定数以上の反応見られたら強化されるなど、高い反応率になるように強化するスケジュールのこと。

氾濫法(はんらんほう)

初めから目標のレベルの刺激を提示して馴化させる方法を氾濫法という。成功すれば短時間で馴化させることができるが、鋭敏化が生じやすいため、馴らす練習としてはリスクが伴いやすく(恐怖の再発、刺激からの逃避や鋭敏化が生じるなど)、高度な技術を必要とする。

ピンチカラー

棘状の突起が内側に突出している鎖でできた首輪。使い方はチョークチェーンと同様であるが、突起がピンポイントで痛みを与えるので、少しの力で罰子を与えることが出来る。また、ピンチカラーもチョークチェーンと同様で、使い方を間違えると重大なケガに繋がるので専門家の指導が必要。

ファイトorフライト(ふぁいとおあふらいと)

1929年にキャノンによって提唱された動物の恐怖に対する反応の定義。動物が恐怖などの刺激にさらされると交感神経が活性化され、心肺機能などが上昇しより早く瞬時に動ける緊張状態を維持し、闘争か逃走するか即座に反応できる状態になる。急性ストレス反応ともいわれている。

5フリーダム(ふぁいぶふりーだむ)

1960年代にイギリスで発刊された「Animal Machine]という家畜動物に対する残虐行為などを示した本をきっかけに、家畜動物の管理改善や福祉の確保を目的として採択した国際的に認識されている動物の福祉基準。現在では、家畜、愛玩動物、展示動物、実験動物など人間の飼育下に置かれた動物の福祉にも適応され、その基本となっている。5Freedom(5つの自由(解放))として5項目が定義されている。
①飢えと渇きからの自由(解放)
②肉体的苦痛と不快からの自由(解放)
③外傷や疾病からの自由(解放)
④恐怖や不安からの自由(解放)
⑤正常な行動を表現する自由 

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フィードバック

コミュニケーションにおいて情報の受け手が送り手に対し視覚・嗅覚・聴覚刺激などを用いて情報を送り返すこと。

服従行動(ふくじゅうこうどう)

犬が自分に向けられる攻撃や威嚇をそらすために示す行動で、能動的服従と受動的服従に分けられる。この行動には耳を後ろに下げたままにし、しっぽを下げ、股の間に巻き込み、頭を低くし、服従の意味で歯をむき出しにするといった行動や、寝転がりお腹をみせるといった姿勢が含まれる。後者の行動はときどき服従的な排尿(服従性排尿)を伴う。犬は直視することを避け、体を横向きにすることで真正面から対面しないようにする。

服従性排尿(ふくじゅうせいはいにょう)

服従行動の中で見られる排尿。

不随意反応(ふずいいはんのう)

動物の意思とは関係なくおこる反応や運動のこと。内臓の運動や消化液の分泌、心臓の拍動、発汗など不随意筋によって引き起こされる反応がある。犬の場合、ドッグフードを与えると唾液が出るがこれは不随意反応によるものである。

負の強化(ふのきょうか)

動物が何らかの刺激を受けた際、その刺激に対して反応したことで悪い結果(嫌悪刺激)が取り除かれれば、再び同じ刺激を受けたい際に同一の反応の頻度が増える。このような学習オペラント条件付けの「負の強化」と呼ぶ。例えば、触られることを嫌う犬を無理に触った際、その犬が咬みついてきたので触るのをやめると、再び触ろうとした際にその犬が咬みついてくる頻度が増える。

負の強化子(ふのきょうかし)

オペラント条件付け負の強化で、結果として消失することで反応の頻度を高める嫌悪刺激を負の強化子と呼ぶ。触られるのが嫌いな犬を触った際、犬が咬みついてきたので触るのをやめたことで、次に触ろうとしたときに咬みついてくる頻度が増えれば、結果として消失した触ることは負の強化子となる。

負の罰(ふのばつ)

動物が何らかの刺激を受けた際、その刺激に対して反応したことで良い結果(快刺激)が取り除かれれば、再び同じ刺激を受けたい際に同一の反応の頻度が減る。このような学習オペラント条件付けの「負の罰」と呼ぶ。例えば、犬が飼い主に構ってもらいたくて飛びついた際、飼い主に相手にしてもらえず無視されれば、再び飼い主に構ってもらいたいときに飛びつく頻度が減る。

負の罰子(ふのばっし)

オペラント条件付け負の罰で、結果として消失することで反応の頻度を弱める刺激を負の罰子と呼ぶ。犬が飼い主に構ってもらいたくて飛びついた際、飼い主に相手にしてもらえず無視されたことで、再び飼い主に構ってもらいたいときに飛びつく頻度が減れば、飼い主が相手をしなかったことは負の罰子となる。

部分強化(ぶぶんきょうか)(オペラント条件付けにおける)

反応の後に連続でなく、強化子を与えたり与えなかったりする手続きをいう。このスケジュールには、固定比率スケジュール変動費率スケジュール固定時隔スケジュール変動時隔スケジュールなどが含まれる。

部分強化(ぶぶんきょうか)(古典的条件付けにおける)

条件刺激を呈示した時に無条件刺激を呈示したりしなかったりする手続きのことをいう。連続強化に比べると、部分強化消去効果が得られやすい。

部分強化消去効果(ぶぶんきょうかしょうきょこうか)

古典的条件付けおよびオペラント条件付けにおいて、ある反応を消去する場合、連続強化によって条件付けされた学習や、連続強化により強化(オペラント条件付けにおける)された行動よりも、部分強化の手続きを受けた条件付けや行動のほうが消去は遅くなる。この現象を部分強化消去効果と呼ぶ。すなわち、オペラント条件付けにおいてある行動を学習させ、その行動を消去したくない場合、行動を学習するまでは連続強化を行い、学習が成立してからは速やかに部分強化に移行することで学習した行動を消去しにくすることができる。

分化強化スケジュール(ぶんかきょうかすけじゅーる)

部分強化(オペラント条件付けにおける)の1つで、基準以上の反応や両立することができない反応に対して報酬を与える強化スケジュール。反応率分化強化、対立行動分化強化などがこれに含まれる。

フライキャッチング(フライバイティング)

虫がいないにも関わらず空中に向かって口で捕まえるかのような行動常同行動常同障害の一つで神経伝達物質が関与している。別名ハエ追い行動。

フライボール

1970年代後半にアメリカで考案されたドッグスポーツ。チーム競技と個人競技があり、チーム競技は、基本的に4人のハンドラーと4頭の犬がリレー形式で競うもの、個人競技は1人のハンドラーと1頭の犬がタイムトライアル形式で競うものである。どちらも4つのハードルとボールが飛び出すボックスが設置された、直線のレーンで行われる。犬は、コースに並べられた4つのハードルを跳び越し、フライボールボックスを操作して、そこから飛び出たボールを咥え、再びハードルを跳び越し戻ってくる一連の動作を行う。チーム競技では、この動作をリレー形式で行い、タイムを競う。個人競技では、1頭のみで行いタイムを競う。

ブラックボックス

動物の行動外部刺激に対して反応した結果であるが、動物は五感で感じ取った刺激を情報として脳内で処理し、効果器を動かすことで初めて行動が発現する。行動学では外部からは観察できない、刺激の入力や情動を含めた刺激の処理方法などの行動発現に関わる要因はブラックボックスとして扱う。行動的アプローチ(行動主義)を主とした行動学では、ブラックボックスに入力される刺激と出力された行動の関係性について追求することで未知の過程であるブラックボックスは重要視しないが、認知的アプローチを主とした動物行動学では科学的なアプローチとして刺激に対して脳や神経がどのように反応し、行動として発現しているのかを重視する。

フリーシェ―ピング

プロンプトなしに動物の自発的な行動強化し、目的の行動を学習させる手法。犬の場合、主にクリッカーを使用して行われる。

プレマックの原理(ぷれまっくのげんり)

動物がしたいと思っている行為が強化子として働く原理のこと。行動頻度の低い行為の後に、頻度高い行動をさせることで、前者の行動が強化(オペラント条件付けにおける)される。レトリーブが大好きな犬の場合、オスワリをした後にレトリーブをすることで、オスワリする行動が強化される。さらに、草むらに行くといつも排泄をしてきた犬に対し、オスワリをした後に排泄をさせることを繰り返すことで、草むらの前で座る行為を学習する。

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プロンプト

目的の行動を示せるように与える刺激のこと。例えば、人の横に犬をつけるトレーニングをする際、人の横にくっつきやすくするために壁などを用いることがある。この時の壁をプロンプトという。ただし、正確な行動の獲得をするためには、プロンプトは徐々に減らせるものが良い。そこでこの場合は、壁ではなく、高さ調整可能な伸縮カラーコーンなどを用いた方が、人の横につく行動の獲得がしやすくなる。食物による誘導、体を触るといった物理的刺激、壁などの物を用いて動物の行動を制限する、他個体の行動など目的の行動のヒントになるものは全てプロンプトである。

分離不安(ぶんりふあん)

留守や夜間など家族(飼い主、同居動物など)と離れる状況を予期した時から生じる不安反応をいう。不安から様々な行動が見られ、しばしば問題となることがある。吠える、鼻をならす、破壊行動、不適切な場所での排泄、自傷行為などが例として挙げられるが、これらの反応が分離して30分以内から見られること、飼い主がいるときは見られず、分離したときのみに見られるなどが特徴である。原因としては、飼い主と離れることに対する馴化不足、離れる際や帰宅時の過度な愛情表現などさまざまなことが考えられるが、飼い主の生活パターンの変化などがきっかけとなって分離不安となることもある。分離不安の治療には行動修正はもちろんだが、薬物による治療が必要になる場合もある。

ヘッドカラー

イヌの後頭部とマズルに紐をかけて顎の下で止めることで頭の動きをコントロールする道具。リードは顎の下に伸びるヘッドカラーに装着し、散歩などでイヌが引っ張ったり、突然飛び出したりすると後頭部とマズル部分が締まり動きを抑制する。また、力が加わる部分が顎の下になるので、前方に引っ張ろうとしても顔が横に向いてしまい前に進む力が分散されるため、小さな力でイヌをコントロールできる。装着を嫌がり、外そうとする個体が殆どで、装着には馴致が必要である。個体によっては興奮しその場でグルグル回ったり、突発的に飛び出すことで頚椎を痛めたりするので使い方が難しいため専門家の指導が必要である。

ペットロス

ペットを失うことによる喪失感のこと。ペットを失うこと自体をペットロスと定義づけることもある。ペットロスによって生み出される心身への症状、疾患をペットロス症候群といい、これらの症状については個人差が大きい。代表的なものとしては、うつ病、不眠、情緒不安定や疲労、無気力、摂食障害などが挙げられる。

変動時隔スケジュール(へんどうじかくすけじゅーる)

部分強化スケジュールの一種。固定時隔と異なる点は、強化子が与えられるまでの時間の間隔が毎回変動するということ。

変動比率スケジュール(へんどうひりつすけじゅーる)

部分強化スケジュールの一種で、異なる反応の回数に応じて、報酬を与える強化方法のこと。例えば、特定の反応回数が1回で報酬を得られることもあれば、3回で報酬を得られこともある。これは、一見ランダムに報酬を与えているようであるが、あらかじめ報酬を与えるための平均回数を設定したスケジュールのため、厳密にランダムとは言い切れない。

弁別(べんべつ)(古典的条件付けにおける)

特定の条件刺激条件反応が生じるようになった際、学習した条件刺激以外の刺激では同じ条件反応が生じないことを弁別という。特定の男性に恐怖心をいただくようになっても、同じような容姿や年齢の男性には恐怖反応を示さない場合、弁別が起こっていると考えられる。

弁別学習(べんべつがくしゅう)

特定の反応を起こすきっかけになる先行刺激学習すること。犬のトレーニングであれば、「オスワリ」の合図で座る、「フセ」の合図で伏せることを学習すること。

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弁別刺激(べんべつしげき)

特定の反応を起こすきっかけになる先行刺激のこと。犬のトレーニングであれば、「オスワリ」や「フセ」といった合図がこれに当たる。

防護的攻撃行動(ぼうごてきこうげきこうどう)

飼い主や同居犬などが威嚇されていると犬が認識した際に、守ろうとする攻撃行動。例えば飼い主に対して、人が近づいてくることや、他の犬が飛びつこうとして、それを犬が脅威だと感じた際に発現することがある。犬自らが恐怖を感じて発現する恐怖性攻撃行動との判別が難しく、飼い主は勘違いしていることも多い。また、縄張り性攻撃行動とは異なり、縄張りの外でも起こる。母性による攻撃行動をこれに含める場合もある。

母子分離(ぼしぶんり)

母親とその子が離れること。犬の場合、母親から子犬を引き離し、子犬を新しい環境下に連れて行くことを指す場合が多い。6週齢など早期に母子分離をされた個体は、罹患率や死亡率が高くなったり、食欲不振や体重減少がみられることもある。動物の愛護及び管理に関する法律において、親等から引き離す時期について検討されており、母子分離の時期が注目されている。

捕食性攻撃行動(ほしょくせいこうげきこうどう)

対象の動きや匂いが刺激となり、誘発される攻撃行動。恐怖など情緒的な変化を伴わないことが特徴である。行動の分類としては、摂食行動、捕食行動として分類されるが、本来の犬の捕食対象以外に行動が向くことにより、攻撃行動としてとらえられる。忍び寄り、追いかけ、捉え、咬みつき、殺して食べるという行動からなり、これら一連の行動が最初から最後まで起こることもあるが、途中で止まることもある。小動物、乳幼児、高齢者、身体障がい者、自転車、バイクなどが対象となりやすいが、特に素早く動くものに対し発現することが多い。注視、忍び歩き、低い姿勢などの捕食姿勢に引き続いて生じることが多いが、威嚇が起こらないことも特徴である。

母性行動(ぼせいこうどう)

妊娠から分娩、養育の過程で発現する複数の行動のこと。巣作り、授乳、子犬を温める、グルーミング、巣戻し、母性攻撃行動、子犬への行動抑制などが挙げられる。これらの行動は、子犬の発達において重要なものであり、相互に作用しあって発現する。特に子犬をなめるグルーミング行動は、不安行動やストレス反応性を決めるものとされている。また、母性行動は偽妊娠によっても発現することがわかっており、発情期から2か月ほどたった雌犬が、巣作りをしたり、ぬいぐるみや巣を守ろうとする行動などが見られる。

母性による攻撃行動(ぼせいによるこうげきこうどう)

妊娠中や出産間近、出産後に発現する攻撃行動。出産場である巣に近づいたり、子犬への接近や接触を試みる犬や人に対して、歯をむき出して唸る、歯を当てる、噛みつくなどの攻撃行動を見せる。これらの行動は偽妊娠中の雌犬にも見られる。

ボディーランゲージ

体の各部位を使って感情を表現するコミュニケーション方法(身体言語)。顔の表情、目、耳、口元や体の姿勢、尻尾の向きや動きなど複雑に組み合わせることによって、自身の感情を表現し、他個体とコミュニケーションを取る。
一般的に尻尾を振っているから喜んでいると認識しがちであるが、不安なときや怖い時でも尻尾を振る場合もある。中でもお腹を見せて仰向けになるボディランゲージで、お腹を触ってほしくて仰向けになる個体もいるが、これ以上何もしないでほしい合図の場合もあるため、不用意に触ると噛みつかれたりする場合もあるので、ボディランゲージを解釈する際には犬の体全体を観察して心理状況を判断することが重要。

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本能行動(ほんのうこうどう)

動物が生まれながらに身につけている特異的な行動レパートリーで、学習や練習、及び他個体からの模倣、また、環境からの影響も受けずに発達する行動のこと。別名生得的行動

本能的逸脱(ほんのうてきいつだつ)

動物の本能行動によって、条件付けられている行動から逸脱すること。例えば、豚にコインを拾い上げる条件付けを行っている途中で、鼻先を地面に付けて引っかけ回したり、アライグマにコイン1枚つまみ上げる条件付けを行っている途中で、コインを2枚にすると、その2枚とこすり合わせるような行動を見せる。前者は、豚が餌を探す行動で、後者は餌(ザリガニなど)の殻を剥ぐ行動である。

執筆者:鹿野正顕(学術博士)、長谷川成志(学術博士)、岡本雄太(学術博士)、三井翔平(学術博士)、鈴木拓真CPDTーKA
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